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三途の川で座談会?

映画『river』、いったい誰が死んで誰が生き残ったのでしょう?
生死保留の状態で、佐々木耕一・藤沢聡・九重達也が
三途の川で鉢合わせました。
座談会風と言うことで、すべて会話で書きます。

*注意*
映画『river』を、これから見る人、は読まないほうが良いです。
物語のネタバレだけではなく、偏った先入観に囚われるかもしれません。
三人のキャラが少し変わっていますが気にしないで下さい。
奪衣婆?閻羅王?ってナンやねん、というツッコミもなしです。
以上、御了承下さい。
御了承できなければ、申し訳ありませんがお帰り下さい。ゴメンナサイ。

  
 「はい、皆さん、こんにちは。わたくし、三途の川の
奪衣婆と言います。ええと、状況、解かってます?解かってませんね。あなた達は、今、生死保留されています。上からの書類が届くまで、ちょっと、ここで待機していて下さい。ま、ここまで来ても生き返る人が多いので、気楽に待ってて下さい」

 「なんだって?だつえば??」

 「ええと、九重さんですか。奪衣婆です。現の世では『三途の川で死者の衣を剥いでる婆さん』と言われています。まだ若いつもりなんですけどね。すぐ、知らせが来るので大人しく待っていて下さい。余計なことをすると六道のどこにも行けなくなりますよ。では」

 「行っちまった。・・・そういえばお前達、無事だったんだな。いや、無事じゃないか。いったい何がどうなってるんだ?俺は、学校の外でやられたから、お前達がどうなったのか・・・」

 「俺にも良くわからない。腹を撃たれて血まみれの藤沢が横井を撃った。そして横井が俺を羽交い締めにし、藤沢が銃を構え・・・。その後は俺にも解からない。記憶が飛んでいる・・・」

 「・・・俺は、佐々木を撃ったはずだ。が、どこに当たってどうなったか見る前に意識が遠のいた」

 「ええ?佐々木を撃ったって?ああ、もう、何がなんだかわからないな。そうだ、藤沢!お前、佐々木のジャケットぱくっただろ?それと関係あるのか?佐々木に恨みでもあるのか?」

 「ジャケットは間違ったんだ、慌てて逃げたから・・・」

 「いいや、お前は給食費だって盗んで」

 「やめろ、九重。本当に藤沢は間違ったんだ。その証拠に、大事な指輪が2個、ポケットに入っていた」

 「…佐々木、その指輪、返せよ」

 「ああ・・・」

 「なんだよ、指輪2つって」

 「お前には関係ない」

 「関係ないこと無いだろう!」

 「九重、乱暴はよせ、・・・藤沢のエンゲージリングだ。婚約者は、通り魔に殺された。その通り魔を取り逃した警官が、俺だ・・・」

 「な、なんだって?それじゃ・・・」

 「佐々木のジャケットのポケットに、弾が入っていた。あの時もこうやって、銃から弾を抜いていたんだろう?だから、通り魔を撃てなかった!さっきだってそうだ。弾が入っていればお前と横井が対峙した時、相撃ちになったはずだ!」

 「それは、お前がジャケットを間違って持っていったから、俺は弾を入れられなかったんだ・・・弾を入れようと探したら、指輪が出てきた。いや、弾が入っていても、俺は横井を撃つことが、人を撃つことが出来なかったかもしれない・・・」

 「・・・だったら、俺がジャケットを取り違わなかったら、横井がお前の銃を俺に突き付けた時、俺は完全に死んでいたってことか?」

 「おい、もうよせ、二人とも・・・俺も悪かったよ。本当に余計なこと訊いたよ。それよりも、横井はここにいないのか?」

 「生きているのかもしれないな、藤沢の撃った弾は貫通したようだし」

 「俺のせいか?お前が撃てなかったせいだろう!」

 「だから、もうよせって」

 「いや、俺のせいだ。通り魔と横井が会っているのを、俺は目撃していた。なのに、何も出来なかった」

 「もう、いい。何を言っても、俺はお前を許さない」

 「ああ。・・・そういえば、九重、お前、ずいぶん撃たれていたな。両腕と両足の付け根・・・ナイフの傷もあったような・・・」

 「横井のヤツ、俺のことを一番恨んでいたんだろう。子供の頃、助けてもらったのに助けてやれなかった。それどころか命令されるまま横井を殴った。なのにアイツは、俺の前に現れて『友達だろう?』って言うんだ。俺は否定出来なかった。否定できないままヤツの言いなりに・・・」

 「言いなりってなんだよ?通り魔事件も、お前が関係してるのか?お前が通り魔か?」

 「ち、違う!確かに、あやしいヤツと横井は会っていた。が、俺は無関係だ!薬を盗む計画だけ言いなりになった!お、お前だって給食費盗んだだろう!横井が濡れ衣を着せられて虐められても助けなかっただろう!」

 「何?横井が泥棒じゃないって知ってて、イジメに参加してたお前はなんなんだよ!」

 「二人とも、やめてくれ・・・。俺が、俺が悪いんだ・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「は〜い。お三人さん、ストップ、ストッ〜プ。ちょと目を離すとこれだもん。こんなとこでケンカしたら、閻羅王がお怒りになって最悪のシナリオ用意しちゃいますよ?」

 「最悪のシナリオ?」

 「そう、わたくしに権限があれば、三人とも現の世に送り返したいですね。九重さん!」

 「は、はい」

 「あなたを、無事とは言いがたい形で生還させますね。一生寝たきりで。きっと怖くて自殺もしないでしょう。まあ、自殺されちゃあ、常世の手続きも収容先も大変なんですよ。あなたなら自殺しないでしょう。寝たきりで長寿を全うさせてあげますよ。自尊心も強そうだから生地獄かもしれませんけどね。でも、自殺した後の収容先はもっと過酷な地獄ですけど」

 「な・・・」

 「次、藤沢さん!」

 「あ・・・」

 「ビクビクしないで下さいよ。わたくしの戯言なんだから。そうねえ、無事に生還させましょう。でも、あなたは横井さんに殺される恐怖と佐々木さんを殺す恐怖に精神を病んでいくでしょうねえ。今みたいに、ず〜と怯えてるんでしょうね。そのうち精神のバランスを崩して佐々木さんを自分と同じ目にあわそうなんて思って、佐々木さんの恋人を手にかけちゃうかもしれませんね。そして、手にかけた瞬間、自分の婚約者とダブるんです。ね?怖いでしょう?その途端、あなた、完全に精神崩壊するでしょう。それなら死んだ方がマシだってい言いますか?罪に応じた収容所で償わされますよ?地獄に時効はありませんよ?いくつ、罪を犯しましたか?」

 「う、うわああ」

 「いやねえ。戯言だって言ってるでしょう?はい、次、佐々木さん」

 「あんた、どういうつもりでこんな事を言うんだ!?」

 「ここは、わたくしの縄張り、文句言わずにお聞きなさい!」

 「・・・」

 「あなたは・・・、無事に生還しても、九重さんや藤沢さんを見て、誰も救えず、自分自身も救えない事に心を病むでしょうね。恋人も殺されちゃうかもしれないし。夢と現の境がなくなり、廃人になるかもしれませんね。ま、さっきも言った通り、死んじゃっても楽になれませんけど」

 「・・・」

 「・・・」

 「・・・」

 「やっと、大人しく待つ気になったようね。もう1つ、面白いシナリオ、話してあげましょうか?わたくしだったら・・・横井さんは死なせませんよ。あなた達が死んでも、さっきのように生きてても、やる事をやった彼は一応満足するでしょう。
 でもね、せっかく盗んだ薬は危険なんですよ。臨床実験してないし。だから、誰かで試すんでしょうねえ、でも、上手くいかないんでしょうねえ、だから、自分の記憶なんて操作できない。ま、最初から解かってて盗んだのかもしれないけど。彼は、一生、頭痛を抱えていく。憎んで、でも愛した友を自分の手にかけたという辛さも罪も消せないで抱えていくでしょう。あなた達って、見るからに苦しい辛いって顔してたけど、彼は、そんな顔、誰にも見せずに、幸せな人生を全うした、と、周りに思わせるんでしょうねえ・・・。誰にも理解されないで一生を送るんです」

 「・・・」

 「あら、一言も喋らないのね。私の考え、そんなに酷かったかしら?そう思うのなら、今からでも良いわ、もう、争うのはやめて。そして、間違いは正して。って無理かしらね。これこそ戯言かしらね。
 横井さんと再会したら、子供の頃の、あの頃の気持ちに戻って抱きしめてあげたら、彼の心が救われるかも。悲劇が終るかも。ってのはわたくしの妄想かしら。きっと妄想ね。無防備になった瞬間、彼にとどめを刺されるかもしれないし・・・。
 まあ、少し、自分を見つめ直して下さいな」





 「・・・誰か来た」

 「書類か?」

 「そうだな」

 「あら、ちょっと顔色が良くなったみたいねえ。考えがまとまった?では、上からの指示をお伝えします。こころして聞いて下さい・・・」

終り

三人がどうなったか、横井がどうなったか、それは、riverを見た人の数だけあります。
ということで、それぞれの結末を想像して下さい。
ここまで書いて無責任ですって?自分の中の結果を書くのは怖いんです(汗)

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