九重の事を書こうとして、思い出した事がある。
自分も、横井であり九重であったかもしれない事を・・・。
小学校三年の時、転校生が来た。
自分は転校生と仲良くなった。
転校生と遊びすぎて成績が下がり親に叱られた。
でも、転校生が大好きだった。
五年になってクラス替えになった。
転校生と違うクラスになって、あまり遊ばなくなった。
そして六年の夏休みに、転校生は、また、転校していった。
修学旅行の前だった。
文通が続くが、それもいつか途絶えた。
高校一年の夏休み。
小学六年に別れた転校生が、また、この街に戻ってくるという。
同じ学校になった。
自分はその時優等生で、担任に転校して来るのは自分の友達だと言った。
転校生は、また、同じクラスになった。
転校生は自分の入っている”グループ”に入った。
だが、他の子と折り合いが悪くなり、転校生はグループから仲間はずれにされた。
自分は・・・助けられなかった。
自分まで仲間はずれは嫌だった・・・。
転校生は違うグループに入った。
1年後、修学旅行だ。
違うグループの中の転校生と、一番仲が良いのは、こっちのグループに居る子だ。
部活が同じ子と、本当は仲が良いのだ。
自分は、1年前の償いがしたくなった。
強引に、修学旅行の班決めをした。かなり強引に。
転校生は、無事に仲が良い子と一緒に修学旅行を楽しめた。
だが、自分は、他にも強引で目につく欠点が多かったのだ。
今度は、自分が、仲間はずれになった。
自業自得だった。
もちろん、心配をしてくれたりする子もたくさん居た。
ありがたいことに、お世話になった人がたくさんいる。
違うグループに入れてもらえた。
それは転校生の居るグループだった。
数ヵ月後。
もとのグループの人とも、普通に話したり遊べるようになった。
そして卒業。
転校生とも離れ離れになり17年。
年に数回しか連絡は取り合わない。
でも、その子にとって一番の友ではなくても
「大事な友達だよ」と言ってくれる。
数年ぶりに会っても、昨日会っていたような感覚になれる。
会話が途切れても気まずくならない、そう言う関係になっている。
横井と九重も、こんな風になれたら良かったのに、と思う。
終り
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