捜索ちゅう

  

「パトカーが家の前に停まってます!」
「小餅ちゃんが捕まる!?」

二階の窓からおしゃチュウ2&おちゅ

注:小餅家に来たわけでは有りません


 2001年6月初旬、小餅は遠出の買い物に出た。
 1人で、自転車で片道5キロプラス徒歩1キロ。当然往復するのだから約12キロの良い運動になる。

 小餅はカバンにカメラも入れ、さっそうと自転車に飛び乗った。

 「ピカチュウ、街角にいるかなあ……」

 そう、ついでに『街ピカ』も探しカメラに収めるつもりなのだ。
 まず、小学校の前を通る。よく行く小学校ではない違う学校だ。

 「昔は、交通安全とかの手作りポスターをよく貼ってたけど…」
 「小学生に見せるつもり?それとも父兄に見せたいのか?」

 貼ってあるのは政治家のポスターばかり。

 「大通りの店が多い所じゃないとダメかなあ」

 小餅は大通りに出た。国道だ。
 時々行っていた靴屋が閉店している。小餅は名前のとおり、体が小さいので靴も小さい。ここは、わりと気に入った物とサイズと値段が一致する相性のいい店だったのに……。

 「ピカチュウいないなあ。黄色黄色っと……」

 黄色い物はなかなか見つからないまま、自転車を進める。

 「そういえば、商品でもピカ物少なくなったなあ」

 そう、黄色に反応してもハチミツを持ったくまさんだったり、違うキャラクター物ばかり……。
 スーパーのお菓子コーナーは、それなりに充実しているのだが。玩具屋のピカコーナーが小さくなっていくのは寂しい。

 イトー○ーカドー&ロッ○リアの前を通る。

 「○ーカドーで映画のチケット売ってるかな?」

 小餅の住む街は、相次いで映画館が閉館していき、この春、とうとう街には映画館が無くなったのだ。
 隣りのK町のS○TY内の映画館しかないのだ。
 ライバル店舗でしか見られない映画のチケットを売っているだろうか?気にはなったが、それよりも買い物と街ピカ探しを優先する。

 ちいさな玩具屋兼駄菓子屋の前を通りかかる。

 「あ、なんか手描きのポスターがある!けど、黄色くないなあ。ああ、青いよ。青い耳のないネコ型ロボットだ」

 ガッカリしながら通りすぎる。
 小餅は、ふっと気がついた。

 「ピカチュウだけじゃない。ほかのアニメとかのキャラクターの手描き物が無い!」
 「なんか……閉店してる店が目につく……」
 「英会話のジ○スのポスターばかり!!」

 国道を走り、駅裏にチャリを置き、地下道を通り、駅前を歩く。
 郊外の大型スーパーに圧され、客足が少なく閉店している店も多い。店を閉めて大型店にテナントで入っている店もある。

 目的地のデパートに着くまで、こんな調子だった。
 しかも、この日発売予定の欲しかった物は『明日入荷します』と言われる始末……。

 明日は来られない。そして、この街のメインストリートを通ったはずなのに、ピカがいない。

 ガッカリしながら、デパ地下のお茶屋さんに行くと……

 「あー―!!嬉野茶!?」

 ずっと探していた『佐賀県嬉野産茶』を発見!!

 なんとか落ちこまずに家路についた小餅だった。


 その翌日、時間が無いので近場をチャリで飛ばしていると、小餅の目に一枚のポスターが飛びこんだ。

 「え?○○チュウ!?」

 小餅はスピードを落し、ポスターを見なおした。

 「……ダテチュウ?何だ?これは??」

 もっと良く見る。爽やかな笑顔の中年紳士の写真の下には大きく『ダテチュウ』と書いてあり、それ以外にも何か書いてある。

 「だて忠一?」

 伊達忠一さんという、北海道議会議員さんでした(汗)

 「……ニックネームはダテチュウ??夏の選挙には投票用紙にダテチュウって書いていいのか?あ、選挙区が違う人だ、残念」

 ……小餅は気を取り直し、某大型スーパーのゲームコーナーに行った。

 「最近は、ピカチュウはいなくて、ピチューばかりなのは何でかなあ……」

 ゲームコーナーにはピチュー達のヌイグルミがあるが、ピカチュウはいない。

 「あ、これすごく取りやすそう!」

 くたくたっとしたス○ーピーのヌイグルミだ。
 小餅は100円を入れて挑戦した。

 ウイーン、ピタッ、ウイーン、ニュニュニュニュ、ガシッ!ポロッ

 もう1度100円。

 ウイーン、ピタッ、ウイーン、ニュニュニュニュ、ガシッ!ポロッ

 「……もう少しなんだけど、いやいや、これはピカチュウではないんだ。退き時も肝心だ!」

 小餅は、あっさり諦めて店内の違うゲーム店へ向かった。

 「ああ!!やっと、やっと北海道に上陸したんだ!!!」

 そこには『振り向きピカチュウ&振り向きピチュー』が!!

 さっそく100円投入!

 ウイーン、ピタッ、ウイーン、ニュニュニュニュ、ガシッ!ポロッ

 もう100円!

 ウイーン、ピタッ、ウイーン、ニュニュニュニュ、ガシッ!ポロッ

 「小餅の腕では、この箱物は無理だ……」

 たった200円で、自分の腕の悪さを思い知り、肩を落し移動する。

 「あれ?何これ!?おねむりまくら!?」

 落ちこんでる小餅の目の前に、可愛い寝顔のピチュー、モココ、ソーナンスが!!

 「え?200円もするの!?でも……このクレーンの大きさ、横幅、縦幅なら……捕まえれば落ちずに運べるかも!!」

 小餅は200円を投入した。

 ウイーン、ウイーン、クルクルクルクル……

 そう、このクレーンは好きな角度に回転する事が出来るのだ。

 「ダメだぁ……つかみやすい角度にすると、隣のモココ達がジャマでクレーンが下まで降りないだろう……仕方がない、ピチューに対して斜めにクレーンを下ろそう」

 クルクルクルクル、ピタッ、ニュニュニュニュ

 「おっ!ほかのヤツに引っかからないで、下までクレーンが下りたぞ!!ああっ!?ダメだぁ〜真ん中じゃない!?手前で止めすぎた!?」

 ガシッ!

 クレーンは、ピチューの真ん中より下の方をつかんだ。

 ニュニュニュニュ……

 クレーンはピチューを持ち上げる。が、持っているのが真ん中ではないので、頭は持ちあがらず、足の方が持ち上げられる。

 「あぁ〜ピチューが頭を台に付けたまま逆立ちしちゃった……」

 このままクレーンが高く上がればピチューは間違いなく落ちるだろう。

 ウイーン

 「?このクレーン、ここまでしか上がらないのか!?」

 ピチューを逆立ちにしたまま、クレーンは出口に向かう。

 「あ〜ピチューが……でんぐり返しする!?」

 ピタッ!カパッ

 クレーンが止まり開いた。同時に『でんぐり返し』したピチューは出口に向かって落下した。

 「落ちた!」
 「やった!」
 「取れた!」

 小餅と同時に誰かがしゃべった。
 いつのまにか、近くにいた若い兄ちゃんと姉ちゃんが、ピチューゲットに声を上げていた。


おねむりまくらピチュー

 ピカチュウはゲット出来なかったけど、1回でピチューゲット出来て、ご機嫌の小餅だった。

おわり

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