病院の毛布

 小餅はあまり病院には行かない。
 別に病院が嫌いなわけではなく、むしろ好きだったりする。

 一・二年前のある日、小餅はかなり吐き気がひどかったので病院に行った。

 小餅は待合室で椅子に座っているのもつらくて、ぐったりと椅子にもたれかかり寒そうにしていた。実際寒気も酷かったのだ。

 「大丈夫ですか?」
 「…はい」

 力なく答える小餅に、看護婦さんは毛布をかけてくれた。
 注射とかしてくれる『処置室』から持ってきてくれたようだ。

 「…すいません」

 そう言いつつ、毛布に包まる。そして毛布を見下ろすと、黄色い大きな模様がある。黄色に赤いほっぺにまん丸の黒い瞳が小餅を見上げている。

 (ピカチュウだー!!)

 たしか処置室にはハーフサイズ毛布がポケモンとドラ●もんの二枚あったはず。看護婦さんはドラ●もんではなく、ポケモンのほうを貸してくれたのだ。

 (カバンについてるピカチュウのホルダー見たのかな?それとも今日の靴下はピカチュウだったかな?いやいやきっとただの偶然…)

 小餅はそう思いながら診察してもらった。診察台に横になり、お腹を押される。

 (あ、診察台の端にもピカチュウのおもちゃ…。だいぶ前には受付にポケモンフレンズライチュウがあったっけ…)

 「風邪ですね。吐き気止めの注射しますね」

 先生はそう言った。

 …小餅は大好きなピカチュウ柄の毛布を借りて、大好きな注射もしてもらい、チョットだけ幸せになったのだった。

 やっぱり病気の時は小児科・内科がいっしょの個人医院が良い。


 ある日、家族と一緒に病院に行った。やはり寒そうにしていると看護婦さんが毛布をかけてくれた。

 「…このピカチュウ、色が薄い」
 「本当だ、何でだろう?洗濯したら色落ちたのかな…」

 何だか前回よりすすけた色になっている。

 「もしかして!」

 小餅はその毛布を裏返した。

 「あ、色濃くなった!」

 そう、ただ単に表裏逆に掛けていただけだった。

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