金縛り(ヒロオ編)

 金縛りなどなったことがないヒロオが金縛りにあった。

 「体は眠っているのに頭が眠っていないとなるって言うよな……それかな?……とくに変な事は起きてない。ただ、動けないだけだし」

 あくまで心霊現象だとは思わない。居間からは時折家族の声が聞こえる。

 「何だ、まだ誰か起きてるよ」

 ヒロオは金縛りをあまり気にせず眠った。しかし、金縛りは毎晩のように続いた。

 安眠できない日が続いたヒロオはある日、居間でうたた寝をしていた。傍では家族がTVゲームをしている。その画面を見ているうちに睡魔に襲われたのだ。しだいに瞼と体か重くなっていったのだ。

 突然、ヒロオは金縛りにあった。

 「まっすく、そこだ!たたいて!」

 そんな声に頭は覚醒したのに体が動かない。

 「ちがう!反対!もっと右!」

 声はハッキリ聞こえるが体も瞼も動かない。そんな状態が数分続いた。やっと動いて目が醒めたヒロオは家族に訊いた。

 「今、金縛りにあった。オレ、うなされいてたか?」

 「全然気づかなかったけど」

 「金縛りの原因わかった……」

 「何?」

 「それだ、そのゲームだ。音はうるさくないけど……声で頭だけ起きてしまうんだ」

 そのゲームとは、音声認識システム付ゲーム
 『ピカチュウげんきでちゅう』だった。

 その日以来、ヒロオの家では誰かが寝ている時はそのゲームをしないことになった。

 

 ――終り――

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