誰かがいた?

 ある団地のミチルの部屋の出来事…

 その日、ミチルは部屋にたったひとりでいた。居間でのんびりしていると……

 「あれ?」

 居間の隣・子供部屋の照明が点いて、またすぐ消えた。

 「シュンちゃんでも来たかな?」

 同じ階の子供たちは、つながっているベランダから友達の家に出入りをしていたので、ミチルはいつものように子供が遊びに来たのだと思った。

 しかし、ミチルが子供部屋に入ると……

 「……変だな〜誰もいないや」

 部屋は誰もいなくて、ただ、蛍光灯のひもだけが大きくゆれていた。うちの子がいなかったから帰っちゃったかな、と思いつつミチルはぺランダに出てお隣さんに声をかけてみた。

 「今、シュンちゃんか誰か通らなかった?」
 「誰も通ってないよ〜」
 「そう?」

 (私の勘違いかな?)

 ミチルは、あまり気にせず、その事もすぐに忘れてしまった。


 ……1週間後

 ミチルは衣類の整理をしようと、大きなタンスの上に置いてある衣装ケースを下ろしていた。そして、埃の積もったフタを雑巾で拭こうとした。

 フタには子供の足跡がぺたぺたとついていた。

 「あら、ミヤったらこんな所に上って歩いて……まったく」

 ミチルは自分の子供がつけた足跡だと思い、サッサと拭き始めた。だが、拭いている手が急に止った。

 ミチルはタンスの上を見上げた。

 「あんなに高い所にミヤが上ったの?……いや、仮に上がれたとしても歩けないよ!!」

 タンスと天井の隙間に衣装ケースを二段重ねて積んでいた。衣装ケースと天井の隙間はわずか数センチ……。

 誰も歩けるわけがない。

 ではこの足跡はいったい……

――終り――

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