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=リョウコの部屋= リョウコは中学三年の夏、念願の一人部屋をもらった。 これでやっと、うるさいきょうだいと同じ部屋でなくなった。 しかし、夜、一人で寝ていると聞こえなくてもいい物音が聞こえるのだ。 ぎし、ぎし、ぎし、ぎし……、ぺた、ぺた、ぺた、ぺた、ぺた…… その音は外から聞こえる。窓の外は屋根。屋根の上を人が歩いているような音が聞こえるのだ。まるでリョウコの部屋の周りを回っているように……。 泥棒かと思い、両親に見てもらうが誰もいない。 「カラスか何かじゃないの?」 と母親は言う。 しかし、翌日、屋根の上を見ると・・・ 「もしかして、足跡!?」 窓の前は、布団が乾せるくらいに屋根が広い。 「大工さんの足跡だ」 と父親は言う。 確かに、2階を工事した時の大工さんの足跡かもしれない。 その足跡がついていたのは、リョウコのベッドの頭が向いている所だった。
=深夜零時= リョウコは、よくラジオを聞きながら本を読んだり、勉強をしたりした。器用なことに、ラジオを聞きながら一緒に歌いながらテスト勉強をし、口の中には飴が入ってたりした。 だが、夜になれば音が響いてうるさいと言われるので、ラジオのボリュームは絞る。階下に用があって下りて行く時は、気をつけても階段がぎしぎしと音を立てるので、うるさいとよく叱られた。だから階下での用は、夜が更ける前に全部済ませることにしていた。 家族は皆眠っている。小さなラジオの音以外は、リョウコの紙をめくる音やリョウコの服の衣擦れの音くらいだった。 カチャッ 部屋のドアが、突然鳴った。 (うるさくしてないのに!文句言いに来たの!?) リョウコは思いっきりドアを開けた。 「あれ?」 ドアの前にも、階段にも、隣の部屋にも、誰もいない。と思った途端血の気が引いた。 「……そう言えば、階段を登る音が聞こえなかった」 ゾッとしながら、リョウコは理論的に考える。 「きっと、ドアがきちんと閉まってなかったんだ。だから、何かの拍子に……」 時刻は、午前零時。 「零時に鏡見ちゃダメとかって聞いた事あるけど、ドアが鳴るとか開くとか聞いた事無い!」 心霊現象ではないと解析してリョウコは、無理やり納得した。
翌日、リョウコはドアの音のことなんて忘れていた。 すると また カチャッ! ドアが音を立てた。 リョウコはドキッとした。そして昨日の事を思い出し、時計を見る。 「午前零時……」 リョウコの部屋のドアは内側に開くタイプだった。彼女はドアまで行くと、ドアをしっかりと押した。 「きちんと閉まっていなくて、変な音がするのかも……」 その日も、無理やり非科学的な事は考えなかった。
そして数日後、すっかり忘れた頃に、 また、 午前零時に ドアが鳴る…… 原因は解らないが、リョウコはそれ以後、しっかりとドアを閉めるようになり、午前零時が近づくと、もう一度ドアを押すようになった。 ……いつのまにかリョウコは、 「何かが、家を見回っているのかもしれない……」 と、思うようになっていた。 ドアが鳴るだけなら家鳴りかもしれないが、同じ時間になる理由はいったい何なのだろうか?…… ――終り―― |
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