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彼はいつも同じ場所に、仲間たちと一緒にいた。 仲間がいて、さみしくはなさそうだったけど、どこかさみしげに見えた。 時々、そこを通りかかるたびに彼を見た。 だんだん、仲間たちが減って行く。 新しい居場所、新しい家に、行ってしまったのだろう。 彼は、それほど可愛いお顔ではない。 だが、何度も見かけるたびに、だんだん親しみがわいてくる。 小餅はいつのまにか、彼に会うたびに、頭をなでていた。
ある日、彼が転んでいた。 小餅は慌てて抱き起こしてあげた。 連れて帰りたくなる。 でも、やめる。 とりあえず、保留。 そんな事が何度かあった。 転んだり、まがっていたり、耳がたれたり……。 そのたびに、直してあげる。手のかかる子だ。
いつも同じ場所で、小餅は立ち止まるので 「そんなに気になるんだったら、連れて帰れば?」 と、みぃパパは言った。 「今日はやめとく。この次、まだ、ここにいたら連れて帰る」 とりあえず、また保留。 そして4・5日後、彼は、まだそこにいた。 小餅は彼の手を取った。 小餅がいつも彼をなでるたびに、様子を見に来る人を探した。 すぐに来た。目が合う。 「いらっしゃいませ〜」 そう、ここはショッピングセンター内のワゴンショップ。 彼はそのワゴンに並んでいた、ピカチュウぬいぐるみだった。 景品用ピカチュウぬいぐるみ、「タフタピカ・パート1」である。 何度も、買うのを保留されたピカチュウ、保留ピカチュウ、ほりゅう… 名前は『リュウ』くんに決定。
手の先が、ちょっと黒い。だって1998年生まれだから…… 4年も、どこかをさまよって、ここに来たのだろうか!? 2002年春、リュウくんの長い旅が終わった。 終わり |
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